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2016年02月05日

第3話の8:若鮎の本名を聞き出した

いろいろな思惑を込めてマリの本名を聞いたのだが、答は意外なものだった。

「これは本当の名前よ」

「タイ語ではマリーと発音するけど、日本にはマリって名前があるでしょ。だから丁度よかったの」

(「マリ」はこの話だけの仮名だが、本名はやはり日本にもある名前だったので、感じを出すために「マリ」とした)

「じゃあ、これからはマリと呼ぶね」

店の客とカラオケ嬢という関係ではなく、直接触れあいたいというメッセージだ。

別にダメとは言われなかったので、問題はないようだ。


頼んだ料理が次々にやってくる。

焼き肉は2人前になるように私の方で注文したのだが、マリはマリで自分の分を、それもたっぷり注文したようで、生肉の皿がテーブルを埋めつくして行く。

スープも、参鶏湯(サムゲタン)は1杯で2人前分以上あるのに、マリはマリで自分のスープを頼んだので、スープだけでもウンザリするような分量だ。

マリにメニューを渡したのは失敗だったと気づくが、もう遅い。

焼き肉だけでもどんどん焼いて、消化していくしかない。

幸いマリは腹がすいていたのか、コリアン料理が珍しいのか(もしかして初めて食べるのかもしれない)、どんどん平らげてくれる。

どんどん食べさせ、酒もいける口らしいので、どんどんビールを飲ませた。
(CMのあと後半に続く)




日本語の話になり、ノートを見せてくれた。前にも書いたが、日本語とタイ語がびっしりと書き込まれたノートだ。

日本語は平仮名とカタカナに簡単な漢字が混じっていて、小学生のようにぎこちない筆跡がかわいい。

日本語の先生は日本人でなくタイ人だという。

だが日本語のように難しい言葉を努力して続けているのは、元々頭もいいのだろう。


焼き肉をジュウジュウと焼いて、二人でどんどん食べていく。

肉を直火で焼いて食べるのは、野生の本能を呼び起こされるようで、なかなかいいものだ。

それに焼いたらすぐ食べないといけないという切羽詰まった雰囲気は、何かをかき立るものがある。

それはいいのだが、肉の元々の注文量が多いので、なかなか食べきれない。

マリが注文した肉は普通の薄切り肉ではなく、立方体に切られた牛肉の山だ。私も知らないメニューを、目ざとく見つけたらしい。

食べてみると牛肉なので、当然ステーキの味だ。ここには焼き肉を食いに来たのであって、ステーキではない。

やはりマリにメニューを渡したのは失敗だった。

そのうち腹が苦しくなってきた。無理やり口に入れても、どの肉も全部同じ味がするようになってきた。


続く
タグ:焼肉 本名

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Posted by 新井広大 at 2016年02月24日 18:05
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