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2015年10月30日

第2話の2:黒豹の身の上話

前回からの続き)

元気ないのを見かねて一杯おごってやったのをきっかけに、黒ヒョウと仲良くなっていった。

来る度に席に呼んでドリンクをおごってやった。黒ヒョウは飲みながら、ポツリポツリと身の上話をしてくれるようになった。

田舎に子供がいて、実家に預けてバンコクに出稼ぎに来ていること。

旦那とは離婚したという。タイではよくあるパターンだ。

タイ男は基本怠け者なので、なるべく女房に働かせて、自分は遊んで暮らそうという、とんでもない奴らだ。

女房に金をせびり、くれないと暴力を振るう。女は、最後は泣く泣く子供抱えて別れるしかない。

女手一つで食っていくためには、田舎では仕事もなく、バンコクやパタヤを目指す。

容姿端麗なら、バーで外国人の男を相手にすることになる。

いくら若くても、タイのバーで働いている子は、みんな子持ちだと考えて間違いはない。

若ければ若いほど、悪い虫もつきやすいからだ。

タイでは、16、7で男が出来るのは普通なのだ。

オンはいい体しているが、顔が今ひとつだったので、虫がつくのはそれほど早くはなかったのだろう。

若くはないが、それでも子供を養うため、全財産をカバン一つに詰めて、バンコクに流れてきた一人だった。

(CMのあと後半に続く)

あれはソンクラーン(タイの水かけ祭り)の季節だった。熱帯のタイでも、1年で一番、猛烈に暑くなる4月だ。

その暑さをまぎらすためなのか、誰に水をかけても許されるという、伝統的な無礼講の祭りがある。それがソンクラーンだ。

バンコクも例外でない。外を歩いていると、どこから水が飛んで来るかわからない。

水鉄砲でチュッという生易しいものならいいが、柄杓や、時にはバケツで水が飛んで来るのだ。

バケツでやられたら、もちろん時計からケータイから、全身びしょぬれになる。戦々恐々として過ごさないといけない数日間だ。

その日はビクビクしながら、急ぎ足で雑踏を通りぬけ、ナナプラザに向かった。途中の被害は、1回だけコップで背中にかけられただけですんだ。

そうやってオンの店に入り、ホッと一息ついた。

店の中では水かけはやらないという不文律があるので、もう安心だ。

すると、邪悪な物が目に入った。

背負タンク式の本格的な水鉄砲が隅に置いてある。


続く



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