ツイッター始めました。更新情報を流します。

2017年05月22日

第3話の9:若鮎にホテルまで送って貰う

これまでのあらすじ:

バンコク・タニヤのカラオケで知り合った若鮎は、本物の大学生だった。若鮎料理を賞味したくて、高級焼肉店に連れ出すことに成功したが、思いがけない焼肉の山が立ちはだかる。

(長い話です。その1からお読みください)

無理やり焼肉を腹に詰め込む合間に、マリはどんどんビールを勧めてくる。

喉で足踏みしている肉を、マリがついでくれるビールで流し込み、かろうじて腹に押し込む有様だ。

二人で飲むビール瓶が何本も空になり、ビールの酔いもどんどん回って来る。

腹の苦しさと酔いで、マリを中心にした目の前の視界が次第に揺れ出して、何がなんだかわからなくなってきた。

もう限界だ。デートなんか、鮎料理なんか、もうどうでも良くなってきた。

テーブルに両肘をついて、下を向き、吐き気をこらえる。

急に静かになった私を見て、マリが聞く。

「ダイジョウブ?」

ダイジョウブじゃない。早くホテルに帰って横になりたい。

「チェックビン(お勘定)して」

(CMのあと後半に続く)



急いで勘定を済ませ、ふらつく足でコリアン広場の噴水の前を通り抜け、階段を降りる。

歩道に並ぶ屋台の向こうは、だだっ広いスクムビット通りだ。

「ホテルどこ?」

ホテルの場所を片耳で聞きながら、マリがサッとタクシーをつかまえて交渉する。

客席のドアを開け、私を押し込むと、自分も一緒に乗ってくる。

どうやらホテルまで送ってくれるらしい。

「ダイジョウブ?」

さっきまではデートなんかどうでもいい気分だったが、タクシーに揺られているうちに、忙しく考えた。

酔いも腹の苦しさも、時間がたてば解消する問題だ。そのうちヤル気が出てくるんではないか。

介抱してもらうという名目なら、部屋まで来てくれるかもしれない。

そのためには、ここは、ずっとダイジョウブにならなければいいんだ。

「くるしい」

わざと苦しい声を出してみた。

マリは見かねて、背中をさすってくれる。

ホットパンツから伸びたまっすぐな足がまぶしい。


続く
早く更新しろと思ったら、クリックお願いします>>
広告

2017年05月24日

第3話の10:若鮎をホテルに連れ込んだ

(長い話です。その1からお読みください)

タクシーはバンコクの夜の街を疾走する。昼間の渋滞がウソのように空いた道だ。

ホテルの近くになると大通りをそれて、ソイ(脇道)に入る。

マリがまた聞いてきた。

「ダイジョウブ?」

この頃には、次第に楽になりつつあった。ホテルで少し休めば、すぐに臨戦態勢になるだろう。

だがここでうかつに「もう大丈夫」なんて返事しようものなら、それは「さよなら」の意味だ。本当にサヨナラされるに決まっている。

もちろんデートのチップは、しっかり取られてだ。

それも、相手は学生とはいえ、タニヤのお嬢だ。ソイカやナナプラザのあばずれとは格が違う。

チップも、はした金ではなく、千バーツ単位でたんまり取られるに決まっている。

高いチップを取られておさらばでは、何のために高級朝鮮焼肉をたらふく食わせたのか、焼肉が泣くというものだ。

タクシーに料金を払ったら、

「まだ苦しい。一緒に来て」

大げさによろけて見せて、有無をいわさず手をつかみ、ホテルに入る。

男の部屋に行くことがどういうことか、わからないほどウブではないはずだ。

だが素直についてきたのは、介抱のためだからと割り切ってついて来たのか、この時点ではまだわからなかった。

(CMのあと後半に続く)



ここのホテルはカードキーだし、エレベーターはフロントから離れたところにある。

女の子を連れ込んでも、見咎められることはなかった。

エレベーターの中でも、壁に寄りかかって、気分が悪いフリをする。

フカフカのじゅうたんが敷かれた廊下を、もつれあうようにして歩き、カードキーを差し込んで部屋に入る。

部屋の電気をつけると、倒れるようにベッドにもぐりこんで、体力回復をはかることにする。

まだ腹が苦しくて、一戦始めても、充分な動きができそうもないのだ。


続く
早く更新しろと思ったら、クリックお願いします>>
広告

2017年05月26日

第3話の11:若鮎の無防備なフェイスブック

(長い話です。その1からお読みください)

一人ベッドにもぐりこんで、体力回復をはかっている間、マリは何をしていたかを話そう。

マリはホテルの部屋が物珍しいのか、探検をはじめたのだ。あちこち歩き回って、のぞきこんでは
点検している。

そのうち冷蔵庫を見つけて、中のミニバーをガチャガチャやり出した。

目ざとくカクテルの小瓶を取り出すと、勝手に封を切り、クイクイやりだした。

冷蔵庫の上のスナックのカゴからは、つまみもちゃっかり抜き出して、ポクポク食っている。

オイオイ、ホテル備え付けの物は高いんだぞ。一言ことわってからにしろよ。

だがさっきまで山のような焼肉を平らげて、ビールを何本も空にしたのに、まだそんなに入るのか。

さすがは若鮎だ。若さというものはいいものだ。若さに免じて許そう。

それに若鮎料理を食うのに、金に糸目をつけるのもヤボな話だし。

(CMのあと後半に続く)



マリは一人ソファに座って飲み食いしているうち、テーブルに置いてあった私のラップトップが目に入ったようだ。

「コンピューターありますか。わたしフェーブックあります」

(タイ人はFacebookのことを「フェーブック」と発音するのだ)

へえー、さすがは大学生。フェイスブックもやるのか。

アドレスを紙に書いて教えてくれた。

後で見たら、マリのフェイスブックには本名、生年月日、出身高校、大学名が律儀に書いてあった。
FB1.jpg

本名と年齢は、教えてくれたものとぴったり一致していた。

いいのか?こんな大事な個人情報を日本人のオヤジに簡単に教えて。

無防備というか何というか。悪用されたらどうするんだ?

それともよっぽど信用してくれたのか。

以後は日本からフェイスブックで連絡を取り合い、訪タイのたびに会って、満たし満たされることになるのだが、それはまた別の話ということで。

今日は今日のやることがあるので、そっちの話が先でしょう。


続く
早く更新しろと思ったら、クリックお願いします>>
広告