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2016年02月01日

第3話の7:タニヤの若鮎を連れこんだ場所は?

(長い話です。その1からお読みください)

マリと一緒に、路上にたむろする客引き連中の間を通り抜ける。

今日は二人連れだから何をいわれるんだろうかと、戦々恐々だ。

だが、案に反してみんな何もいわない。全部わかったという顔だ。

気が抜ける思いだが、そこは連中にも、見えない限度というものがあるらしい。


ホッと我に返り、マリと並んで歩きながら、

「おなかすいてるの?」

「少し」

「何食べる?」

「なんでも」

「じゃあカオリー(コリアン)にする?」

「はい」

スクンビットのアソーク駅近くに、新しくできたコリアン広場があり、朝鮮・韓国料理店が軒を並べている。

日本とタイの物価差を考えると、日本よりも安く食えるはずなのだが、タイ飯屋と違って一人で入れる雰囲気ではない。連れができたら一緒に行こうと思っていた。

今日がちょうどいいチャンスだ。うまく行けば、コリアン料理のあとで、若鮎も食えるかもしれない。

タニヤを出たところは、大通りを行き来する人の波だ。

マリとはぐれないようにという言い訳を体で表現して手をつなぎ、人の波をすり抜けて、車道に出る。タクシーを捕まえて、スクンビットに向かった。
(CMのあと後半に続く)




コリアン広場は、階段を上がった正面に噴水とベンチがあり、それをコの字型に囲むように、コリアン料理店の入ったビルがある。

たくさん並んでいて迷うが、今日は金に糸目をつけていられない日だ。高かろうが安かろうが構わない。

焼き肉をまず食いたかったので、看板に「焼肉」の文字を探し、最初に見えた店に直行する。

席につくと同時にやってきたウエイターは、タイ語のできる若い元気なコリアンだ。

タイ人カップルに見えたのか、タイ語で話しかけてくる。

まずビールと、焼き肉を何種類かと、参鶏湯(サムゲタン)を頼む。あとはマリに写真入りのメニューを渡し、好きな料理を注文させた。

ビールを飲みながら、マリに店では聞きにくかった質問をしてみる。

「マリ」なんて名前、日本人向けの源氏名だろうから、本名を聞いてみたかったのだ。

本名を教えてくれたら、それ以後はずっと本名を呼ぶつもりだ。そうすれば、こっちの本気度を感じてくれるだろう。

教えてくれなかったら、心を許してくれないということだから、脈はないとわかる。コリアン料理までの関係で終わりだ。鮎料理はあきらめるしかない。

「マリの本当の名前は何?」

マリのふくよかな口唇から出てきた答は、意外なものだった。


続く
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2016年02月05日

第3話の8:若鮎の本名を聞き出した

いろいろな思惑を込めてマリの本名を聞いたのだが、答は意外なものだった。

「これは本当の名前よ」

「タイ語ではマリーと発音するけど、日本にはマリって名前があるでしょ。だから丁度よかったの」

(「マリ」はこの話だけの仮名だが、本名はやはり日本にもある名前だったので、感じを出すために「マリ」とした)

「じゃあ、これからはマリと呼ぶね」

店の客とカラオケ嬢という関係ではなく、直接触れあいたいというメッセージだ。

別にダメとは言われなかったので、問題はないようだ。


頼んだ料理が次々にやってくる。

焼き肉は2人前になるように私の方で注文したのだが、マリはマリで自分の分を、それもたっぷり注文したようで、生肉の皿がテーブルを埋めつくして行く。

スープも、参鶏湯(サムゲタン)は1杯で2人前分以上あるのに、マリはマリで自分のスープを頼んだので、スープだけでもウンザリするような分量だ。

マリにメニューを渡したのは失敗だったと気づくが、もう遅い。

焼き肉だけでもどんどん焼いて、消化していくしかない。

幸いマリは腹がすいていたのか、コリアン料理が珍しいのか(もしかして初めて食べるのかもしれない)、どんどん平らげてくれる。

どんどん食べさせ、酒もいける口らしいので、どんどんビールを飲ませた。
(CMのあと後半に続く)




日本語の話になり、ノートを見せてくれた。前にも書いたが、日本語とタイ語がびっしりと書き込まれたノートだ。

日本語は平仮名とカタカナに簡単な漢字が混じっていて、小学生のようにぎこちない筆跡がかわいい。

日本語の先生は日本人でなくタイ人だという。

だが日本語のように難しい言葉を努力して続けているのは、元々頭もいいのだろう。


焼き肉をジュウジュウと焼いて、二人でどんどん食べていく。

肉を直火で焼いて食べるのは、野生の本能を呼び起こされるようで、なかなかいいものだ。

それに焼いたらすぐ食べないといけないという切羽詰まった雰囲気は、何かをかき立るものがある。

それはいいのだが、肉の元々の注文量が多いので、なかなか食べきれない。

マリが注文した肉は普通の薄切り肉ではなく、立方体に切られた牛肉の山だ。私も知らないメニューを、目ざとく見つけたらしい。

食べてみると牛肉なので、当然ステーキの味だ。ここには焼き肉を食いに来たのであって、ステーキではない。

やはりマリにメニューを渡したのは失敗だった。

そのうち腹が苦しくなってきた。無理やり口に入れても、どの肉も全部同じ味がするようになってきた。


続く
タグ:焼肉 本名

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