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2015年10月10日

第1話の13:エレベーターの中で二人になれば

(長い話です。その1からお読みください)

エントランスに入りながら、人前で手をつないでいるわけにも行かず、そこだけは手を離す。

中に入ると、ロビーがあり、フロントデスクの前を通って、エレベーターに向かう構造になっている。

カードキーだから、部屋の鍵を預けることはしていない。

だからフロントに立ち寄る必要はないのだが、迂回する道はないので、必ずフロントの前を通らないといけない。

そのときに、否が応でも、注視され、同伴者を値踏みされる仕組みになっている。

ここは知らん顔して通るしかないなと腹をくくり、無駄な努力かもしれないが、ノイができるだけフロントから見えないよう、小さな体を隠すようにして歩いた。

緊張が高まる中、近づいてくるフロントデスクの空気がいつもと違う。

いやにひっそりしていて、人のいる気配がない。

おそるおそる見ると、人はいるのだが、肘掛け椅子にもたれて、フロントの男がぐっすり眠りこんでいる。

夜も遅い時間だし、夜間はやることもないし、昼間の疲れがどっと出たのだろう。

起こさないよう、お互いに「シーッ」と口に指を当て、笑いをこらえながら、足音を忍ばせて通りすぎた。

結局、あれこれと気をもんだだけ損だった。




エレベーターに乗って慌ただしくボタンを押し、扉を閉める。

エレベーターが動き出すと、そこはもう二人だけの世界だ。邪魔するものは何もない。

思わずノイを引き寄せる。

ノイは力を抜き、身を預けてくる。

鼻に当たるノイの髪の匂いが、また怒涛のように押し寄せる。

さっきはタクシーの中で出来なかったことをやる番だ。

監視カメラがあるだろうからあんまりなことは出来ないが、普通のラブシーンなら許されるだろう。

さあ何しようかと思ったそのとき、無情にもエレベーターがチリンと鳴り、扉が開く。

いつもは遅いエレベーターなのに、こんな時にはあっという間に着くのが、うらめしい。

だが続きは部屋でいくらでもできる。

あせる気持ちをなだめながら、手をつないで廊下を部屋に向かう。


続く
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posted by 河道 at 13:15 | Comment(0) | 第1話:はじめての女は短髪ノイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月23日

第1話の14:部屋に入って鍵をかければ

(長い話です。その1からお読みください)

ようやく部屋にたどりつき、巴のように絡み合いながら中へ入る。

翌朝のことも考えて、ドンディスカード(「起こさないで」札)をドアの外に掛け、鍵を念入りにかける。

ノイはその間に…

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posted by 河道 at 10:29 | Comment(0) | 第1話:はじめての女は短髪ノイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月26日

第2話の1:バツイチ黒豹は飢えていた

黒ヒョウというのは、タイ人にありがちの全身浅黒くて、引き締まった肢体の女のことだ。はしこくて、なかなか言うことを聞かないが、それだけに、征服したときの味は格別だ。

その黒ヒョウと出会ったのは、バンコクのナナ・プラザというゴーゴーバー集合ビルの、とある小さな店だった。
nana2.JPG

そこはウナギの寝床のように奥に細長い店で、中央に細長いステージがあり、客は両側の壁にへばりつくようにして踊りを見物するという作りだった。

小さい店なので踊り子の数も少なく、たしか5人ずつ2組で踊っていたから、総数10人程度だったのだろう。

その中で、ひときわ目を引く踊りをする子がいた。

若くもないし、色も黒いし、美人でもないのだが、均整のとれたいい体が、ハイヒールサンダルでさらに引き締まり、その姿で気合の入った踊りをする子だった。

興が乗ってくると頭をブンブン振り回して、長い髪の毛が逆立って、ライオンのタテガミのようになるのだった。

あんないい踊りをするのに、自分からは何もアピールしてこない、控えめな子だった。

しばらく、その子の踊り目当てでその店に毎日のように通った。

その子自体に興味があるのではなく、純粋にその子の踊りを見たいだけなので、呼んで話をしたり、ドリンクをおごったりすることはなかった。

気合の入った踊りを見て、満足したら帰るというだけだ。

(CMのあと後半に続く)




ところがある日行ったら、別人のように気が抜けている。

今日はどうしたんだろうと注目していたら、動きが次第に緩慢になり、最後は引き締まった臀部をこっちに向けて、ポールに寄りかかり、ギリシャ彫刻のように固まってしまった。

具合でも悪いのかと、その子を呼んで、横に座らせて聞いてみた。

オンというその子は

「疲れた。毎日踊ってると疲れるし」

「いつもはすごい踊りなのに、今日は全然ダメじゃないか」

「フフッ」

笑いにも力が入ってないので、相当疲れているようだ。

「酒でも飲んだら疲れが取れるかな」

一杯おごってやった。

それを機会に、来る度におごってやる仲になった。

その頃は、色は黒いし鼻ペシャだし、いい体はしていても、とても食指は動かなかったのだが・・・。


続く
タグ:ナナプラザ

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