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2015年09月02日

第1話の6:私服のノイに驚く

(長い話です。その1からお読みください)

ウエイトレスを呼び、連れ出し料と、それまでのドリンク代を勘定してもらった。

支払いを見届けると、ノイは

「着替えてくるから待っててね。すぐだから」

例の短い布切れをひるがえし、奥の控室の方に消えた。

きれいな女性と二人だけの時間が持てるという期待感の反面で、はじめての外国人女性とのデートはうまく行くだろうかという、一抹の不安もある。


その不安を断ち切るかのように、目の前に、さっきの勘定のお釣りが突き出された。

タイでは、とくに夜遊びの店では釣り銭をごまかされることがあると聞いていたので、長方形の皿に乗っている釣り銭を確かめる。

問題なかったので、ウエイトレスにいくばくかのチップを残して、残りの札はポケットに入れる。今日の大事な軍資金だ。

そうしているうちに、私服に着替えたノイがやってた。

えっ?これがノイ?

さっきまでとはうって変わって、地味なワンピースだ。化粧も控えめで、ハンドバッグを手にした姿は、その辺の娘さんと少しも変わらない。

タイの女はパンストなんかはかないので、素足にサンダルだ。

さっきまでのは仕事用の仮の姿で、これがノイ本来の姿なのか?

今日はノイのイメージに、何回うっちゃりを食らうのか。すっかり翻弄されている。



店を出て、普通の娘さんにしか見えないノイと連れ立って、繁華街を歩くのは気が引けるなあとドキマギしていると、追い打ちをかけるかのように、ノイの方から腕を組んでくる。

ええっ?こんなことまでしてくれるのか。

もう気が引けるとか言ってる段階ではない。

気が引けるどころか気恥ずかしいが、もう、まな板の上の鯉だ。こうなったら、なるようになれと、腹をくくるしかない。

ソイ・カウボーイの雑踏の中に足を踏み出した。

だが足が地についていない。

通りの両側で客引きをしてる大勢の子たちの視線を浴びながら、二人三脚のような足取りで、ソイ・カウボーイのネオンの底を通りぬける。

足がもつれて、ノイのサンダルの小さな素足を踏まないよう、そればかりが気がかりだった。


腕を組んだまま、ノイが

「どこに行くの?」

見上げるようにして聞いてくる。

ここで単刀直入に

「マイホテル」

と答えても、素直に付いてくる様子だったが、それではあまりにも味気ない。

(結局あなたも他の男と同じなのね。あたしのカダラ目的なんでしょ)

と見透かされ、さげすまれるだろう。それだけは避けたかった。


続く
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posted by 河道 at 11:30 | Comment(0) | 第1話:はじめての女は短髪ノイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月04日

第1話の7:これから私をどうするの

(長い話です。その1からお読みください)

ノイに

「どこに行くの?」

とゲタをあずけられ、結局内心とは裏腹に、

「まずご飯食べようか」

と提案した。ノイは軽い夕食しか食べてないと言ってたので。

「そうね、何たべる?タイ?ジャパニーズ?」

タイくんだりまで来て、何が悲しくて日本料理を食べなきゃいかんのだ。もちろんタイ料理だ。


冷房がギンギンにきいていた店内では感じなかったが、外は、ねっとりとよどんだ熱気がモワッとまとわりついてくる。これが南国の夜だ。

ノイはしきりに

「アツイ、アツイ」

とつぶやく。かなりの暑がり屋さんらしい。

暑さのせいか、さっきまでの工口トークは影をひそめ、すっかり大人しくなっている。全然違う人格になったかのようだ。

やはりあれは仕事場だけの営業トークだったのか。


ソイカの細い通りを出ると、大きな通りがあり、タクシーが連なって客待ちしている。

すぐに運ちゃんが寄ってきて、「タクシー?」と声をかけてきた。

ノイがタイ語でなにやら交渉している。

タイのタクシーは、運転手の気分で簡単に乗車拒否するので、乗る前にお伺いを立てる必要があるのだ。

交渉成立して、タクシーに乗り込んだ。タイレストランに行くという。

車内はひんやりと冷房がきいていて、ノイも人ごごちを取り戻したかのようだ。

走りだすとすぐに、暗がりの中で、ノイの方から私の腿に手を置いてくる。

やわらかい手を握り返し、そっと持ち上げて、運ちゃんに見えないように、細い指先にそっと口を寄せた。



タクシーは夜のバンコクのだだっ広い道路を疾走している。昼間の暑苦しい渋滞がウソのようだ。

着いたところは、生演奏付きのレストランだった。

噴水の見える屋外のテーブルに向かい合わせに座って、よくよく見ると、やはりごく控えめな普通の娘さんだ。

さっきまでの、きわどいトークでノリノリのゴーゴー娘は、真夏の夜の夢だったのか。でもかわいい顔は、店内と同じだ。


その顔で、メニューの写真を私に見せながら、

「何がいい?アナタ辛い料理OK?」

「少し位ならね」

こっちはそんなに腹も空いてないし、ノイの好きに注文してもらう。飲み物はビールを頼む。

タイ料理は、中華料理と同様、皿をいくつか取って分けあい、白飯と共に食べるスタイルだ。

味は、口が刺すように辛いのもあるし、辛くないのもある。

箸が置いてあるところでは箸で食べてもいいし、タイ人のようにフォークとスプーンで食べてもいい。


料理が来るまでの間、アルコール度の強いタイビールを飲みながら、話をした。


続く
(ノイとなかなか結ばれませんが、もう少しかかります。何事も手順が必要なので)

(3日以内には更新するようにしていますが、応援クリックが多いと、もっと早まるかも?)

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posted by 河道 at 11:49 | Comment(0) | 第1話:はじめての女は短髪ノイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月07日

第1話の8:君の部屋に行きたい

(長い話です。その1からお読みください)

料理が来るまで、私はタイビール、ノイはアルコールはダメだそうで、ミネラルウォーターを飲んでいる。

そういえば店のレディドリンクも、コーラを注文していた。

アルコールがダメだなんて、すっかり真面目モードではないか。これじゃあ、お固いデートだ。

店と同じ調子のきわどいトークは、とても許してもらえない雰囲気だ。


かといってデートで沈黙するわけにも行かず、仕方なく必死で話題を探し、会話を続ける。

度の強いタイビールをぐいぐい飲んで、酔いで勢いをつけて、ノイの田舎のこと、店の給料や、前職などを聞いた。

住んでいる部屋の様子も、それとなく聞きだす。


ゴーゴーの子は、気に入った客を部屋に連れ込むこともあると聞いていたので、期待感満々だったのだ。

だが、ノイはお姉さん夫婦と、部屋は別だが同じアパートに暮らしているという。

うーむ、それではムリか。残念。ここで、選択肢が一つ消えたな。

(することは一つなので、忘れているわけではないので)




いい感じにほぐれたところで、料理が来た。たっぷりと盛られた皿が次々に並ぶ。

ベビーコーンの入った野菜炒め、揚げた魚の甘酢あんかけ、緑色の辛いチキンカレー、酸っぱくて辛い春雨サラダなど、典型的なタイ料理だ。

気を利かして二人分注文してくれたようだが、こっちは夕食を食べてきたので、とても食べきれる分量ではない。

だがノイは、フォークとスプーンを器用に使い、白飯と交互に、うまそうに口に運んでいる。

やはりあれだけの重労働をしたあとだから、腹もすくのだろう。小さな体のどこに入るのかと思えるくらい、見事な食べっぷりだ。

「アナタあんまり食べないのね」

ここで、「腹へってないから」なんて箸にも棒にもかからない返事をしても、面白くもなんともないので、

「感激で胸が一杯だから」

「うふふ」


「ビール、もういいの?」

「うん、沢山飲んでトイレに行ったら、その間かわいい顔が見れないから」

「うふふ」


軽口を楽しんだり、食べっぷりを眺めたり、時にはこっちも味見をしたり。

ふと気がつくと、生演奏のバンドはもう帰ったようで、あたりはシンとなっている。カンバンが近いらしい。



せっかくタイに来たんだから、もっとタイらしい雰囲気の、タイのカントリーミュージックを聴かせる店に行きたいなあと提案してみた。

するとノイはハンドバッグからケータイを取り出し、あちこち電話をかけだした。

どうやらタイのディープな音楽を聴かせる店を、友だちに聞いているようだ。

こんなものに興味がある客ははじめてらしい。

だがすぐに対応するところは、やはり接客のプロだ。客を楽しませることが自分の義務だと、わきまえている。感心して見ていた。

いい店を教えてもらったらしく、ノイは満足気に電話をしまった。

「イサーン音楽が聴けて、飲んで食べれる店があるの」

イサーンというのはタイの東北地方の名称で、バンコクに出稼ぎに来る人が多い。そんなイサーン人が集まって、郷土の雰囲気にひたる店があるらしい。


続く
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posted by 河道 at 07:32 | Comment(0) | 第1話:はじめての女は短髪ノイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする